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'92 ライディングスポーツ No115 8月号
SHOEI X-8  若井モデル広告
すべてはここから始まった。若井選手の活躍とキャラクターからヨーロッパで人気が出てSHOEIに量産のリクエストが来た。自分でもたいへん気に入っているデザイン。
カスタムペイントの世界に入って、現役で活躍している選手として、最初にペイントを担当したのが若井選手であり、思い入れも強かった。
90年当時、若井伸之選手は、レーシングサプライのチーム角力斗雲から全日本125クラスに参戦し、ランキングも一桁で活躍していた。
88年にカスタムペイントショップのイーグルジャパンに入社し、2年が経とうとしていた自分は、両ショップ共に繋がりが深かった事で、レーシングライダーのヘルメットをペイントする機会が与えられ、必然として若井選手に出会う事になる。
若井選手はデザインの学校に通う程、グラフィック等に興味を持ち、ヘルメットペイントをする時には、色んなアイデアを持ち込んできた。しかし、あまり絵が上手ではなく、(ちょっと失礼?)イメージを具体化するのが大変であったがその反面、面白くもあった。
91年2月に、鈴鹿サーキットでWGP選考レースがあり、その頃から彼のヘルメットが徐々に派手になっていく。 当初チームでは統一してシンプルなデザインのヘルメットを使用していた。そんな中、こだわりがある若井選手は、オリジナルを求めるようになる。 最初はフレアパターンを追加してとの事で“でも暴走族のようにはならないように”と、念を押され、品良くまとめた。
周りでは“マジでそれかぶるの”とか言われていたが、次第に影響されはじめ、チーム内でも派手なヘルメットが増え始める。

WGP出場権を獲得すると、今度はチェッカーを入れてくれと言い出したので、これは1からデザインをし直さなくてはと思い、あのデザインが完成した。
デザインは、前述のシンプルなチームデザインを踏襲しながら、トップ部分は遠くからでも目立つように、サイドの白とローズピンクのフレア部分はアルファベットの「F」をかたどった。(この「F」はチーム監督、レーシングサプライの社長、福島さんの頭文字) 後頭部にはチェッカーを入れ、後ろからも一目でそれとわかるように配慮した。また、フラミンゴをキャラクターとしてデザインした。 勿論、アイデアは若井選手の持ち込み。
しかし、なぜフラミンゴかは不明。聞いた気がするが忘れてしまった。 これも本人は気に入ったらしく、自分の車、黒のCRXにステッカーにして貼っていた。また、GP用に新たにマシンカラーリングも行った。
このレースで、密かに優勝を狙って
いた、上田昇選手が見事優勝し、急遽GPフル参戦を決め、坂田和人選手も参戦を決意。(若井選手に誘われたらしい。)このシーズンのGPを盛り上げる3人のライダーが揃った。
レースを消化するにつれ、125クラスでは最高の180cmを超える身長、肘までも擦るコーナーリング、誰にでも好かれるキャラクター、派手なヘルメットでヨーロッパでも次第に注目されはじめる。(彼のレーシングスーツには、肘擦り用のスライディングパッドがついていた。)

'92ライディングスポーツ
N0115 8月号 表紙
日本人125ライダー3人が活躍。翌93年5月1日、スペインヘレスサーキットにてピットロード上で事故。かえらぬ人となる。誰からも好かれ、長身からの独特のライディングフォームでファンを魅了。ヘレスサーキットにはトレードマークであるフラミンゴのモニュメントが設立されている。
翌92年、モトバムにチーム移籍、昨年をランキング10位で終えた彼は、さらに上に目指す。昨シーズン、成績が上がるに伴い、ヨーロッパからショウエイにレプリカ発売のリクエストが増え、遂にこの年、レプリカが発売となる。 当初、ショウエイでは、このグラフィックは量産モデルとして再現するのは、無理ではないかとなったが、企画スタッフの努力と若井選手のこだわりで、オリジナルにかなり近い仕上がりになった。
変更点としては、トップのフレア部分の面積が大き過ぎの為、真ん中にスリットを入れ、後頭部のチェッカーもやはり面積が多すぎるので、3列だった物を2列にした。 若井選手も最初は違和感があったようだが、次第に慣れ、チェッカーの面積を減らした事により発生したスペースに、小さな日の丸を自分で入れるようになった。 1993年、250クラスにステップアップし、鈴鹿ではラッキーストライクカラーのスズキガンマ250に乗った。同じカラーリングのマシンにジョン・コシンスキーがいた。
若井選手のその姿に、みんな喜んだ。 若井選手が亡くなった現在でも、レプリカのペイントオーダーは途切れない。

この年の5月1日、スペイン・ヘレスサーキットのピットロードで、不慮の事故で逝ってしまった彼の姿は、ここに建つフラミンゴのモニュメントと共に忘れられる事はないであろう。
資料協力:ライディングスポーツ
若井 伸之
坂田 和人
原田 哲也
阿部 典史
加藤 大治郎
上田 昇
宇川 徹
アレックス・クリビーレ
玉田 誠
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